日本神経学会が今年3月、『てんかん診療ガイドライン2018』を発刊した。2010年の発刊以来、8年ぶりの改訂が行われた背景には、新規てんかん薬が上市されて治療の選択肢が広がり、国際抗てんかん連盟(ILAE)などのてんかん分類が改訂されたことがある。同ガイドラインは、てんかん診療にあたる一般医の指針として、成人および小児てんかんの最新の診断、検査、治療および予後、情報提供について分かりやすく解説している。
『てんかん診療ガイドライン2018』では、診断にあたって「十分な情報(病歴)を収集することおよび発作の現場を目撃することが最も有用」とし、確定診断のためには「通常は2回以上の発作の確認が必要」と強調している。診断は図のような手順で行い、非誘発性発作の初回てんかん性発作の場合は脳波を記録したうえで、確定的な臨床診断は専門家が行うことを推奨している。
てんかんと紛らわしい疾患は意外に多く、成人については、表のような疾患との鑑別診断が重要だ。突然の意識消失で救急外来を訪れる患者の40%は神経調節性失神と心因性非てんかん発作で、てんかんは29%、心原性は8%を占める。そのため、てんかんと診断するには、心血管性の原因の精査が重要とされる。