日本医師会は6日の会見で、医業税制検討委員会の答申を公表した。医療機関の控除対象外消費税問題について、現時点で「医療界の総意」となっている非課税還付制度の新設による解決に向け、理論づけを「一層明確にする必要がある」と提言している。今村聡副会長は、答申内容を来年度税制改正要望に向けた政府・与党への働き掛けに反映させていく考えを示した。
控除対象外消費税を巡っては、2018年度税制改正大綱で、抜本解決に向けて「19年度税制改正で結論を得る」と明記されており、秋から年末にかけて政府・与党で調整が進む見込みだ。日医はこれまでに、非課税措置は維持しつつ、診療報酬に仕入税額相当額として補塡されている2.89%相当額を上回る仕入消費税額を医療機関が負担している場合に、その超過額の税額控除(還付)を認める新制度の創設を提言している。病院団体も課税転換が政治情勢などの面で困難を伴うことから、非課税還付を「次善の策」として認めている。
答申では、非課税還付制度のメリットとして、中小診療所にとっては課税転換時に問題となる「引きはがし」(初・再診料等の減点)を心配せずに済み、病院にとっては大規模設備投資にかかる仕入消費税額を全額控除できると指摘。制度の円滑な実施に向けては、診療報酬への上乗せ分(現行2.89%)を明確にする必要性を強調し、関係省庁にも「この数値について責任をもって還付制度を実施する必要がある」と求めている。