厚生労働省の「医療放射線の適正管理に関する検討会」(米倉義晴座長)は8日、医療機関が医療被曝の線量管理・記録を実施する方針を盛り込んだ「議論の整理」を大筋でとりまとめた。
厚労省は「議論の整理」を踏まえ、医療法の省令を改正し、医療被曝の線量記録を義務化する方針。今夏をメドに省令改正のパブリックコメントを行い、秋頃に公布する予定だとしている。医療機関の準備期間を考慮し、施行は2020年4月の見通し。
現行の医療法では、医療放射線の安全管理に関する明確な規定がない。その一方で、患者等の医療被曝は、医療技術の進歩とともに世界的に増加傾向にあり、特に日本の放射線診断機器数や患者1人当たりの被曝線量は諸外国に比べ高いことから、線量の最適化が課題となっている。
こうした状況を踏まえ「議論の整理」では、CTエックス線装置や血管造影検査に用いる透視用エックス線装置、診療用放射性同位元素など、医療被曝の線量が特に高い放射線診療に対する線量の管理・記録を義務づける必要性を指摘。必要な放射線診療を妨げる誤った解釈をしないよう患者に適切な説明を行うことや、医療被曝の正当化・最適化に付随する業務の従事者(医師、放射線技師等)を対象とする研修の実施も求めた。