78歳,男性。独居。週2回来訪しているヘルパーが,本日,予定通りに自宅を訪問したところ,応答がなかった。心配になったヘルパーからの通報で,警察官立ち会いのもと,鍵を壊して室内に入り確認したところ,浴槽内で顔を水につけた状態で死亡しているのを発見された。救急隊が到着したときには,既に死後硬直が出現しており,病院には搬送されなかった。
「血圧が高い」と知人には話していたようであるが,既往に具体的な病院受診歴はない。3日前にヘルパーが来訪した際には,特に異常はなかった。発見前日までの新聞は取り込まれており,発見当日の新聞は郵便受けに残されていた。また,発見前日の午後3時すぎに買い物をした際のレシートが,室内に残っていた。
警察署で検視が行われ,その際に立ち会いと死体検案を求められた。外表に明らかな損傷はなく,鼻腔,口腔内には白色の泡沫がみられた。死後CT検査を施行したところ,右視床に粗大な出血巣と脳室内穿破が確認された。また,副鼻腔内,胸腔内の液体貯留や,肺野のすりガラス様陰影も確認された。死亡時刻は,発見前日の午後9時頃と推定された。その後の警察の捜査でも,特に不審な点はみられなかった。