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高齢者の入浴中の死亡:疾病に起因する場合[〈今日使える〉死亡診断書・死体検案書の書き方・考え方〜当直・在宅・事故(6)]

No.5278 (2025年06月21日発行) P.36

監修: 久保真一 (福岡大学名誉教授)

執筆: 木下博之 (科学警察研究所所長)

登録日: 2025-06-21

最終更新日: 2025-06-20

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【症例】

78歳,男性。独居。週2回来訪しているヘルパーが,本日,予定通りに自宅を訪問したところ,応答がなかった。心配になったヘルパーからの通報で,警察官立ち会いのもと,鍵を壊して室内に入り確認したところ,浴槽内で顔を水につけた状態で死亡しているのを発見された。救急隊が到着したときには,既に死後硬直が出現しており,病院には搬送されなかった。

「血圧が高い」と知人には話していたようであるが,既往に具体的な病院受診歴はない。3日前にヘルパーが来訪した際には,特に異常はなかった。発見前日までの新聞は取り込まれており,発見当日の新聞は郵便受けに残されていた。また,発見前日の午後3時すぎに買い物をした際のレシートが,室内に残っていた。

警察署で検視が行われ,その際に立ち会いと死体検案を求められた。外表に明らかな損傷はなく,鼻腔,口腔内には白色の泡沫がみられた。死後CT検査を施行したところ,右視床に粗大な出血巣と脳室内穿破が確認された。また,副鼻腔内,胸腔内の液体貯留や,肺野のすりガラス様陰影も確認された。死亡時刻は,発見前日の午後9時頃と推定された。その後の警察の捜査でも,特に不審な点はみられなかった。

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