医道審議会の医師臨床研修部会は26日、地域枠で入学している医学生について、従事要件に合わない地域の臨床研修病院が研修医として採用した場合、病院に対し、補助金減額などの措置を検討する方針を了承した。厚生労働省は今後、県や大学が地域枠からの離脱に合意した場合を除き、従事要件に反する採用を行わないよう周知する。単純な自己都合による離脱を極力防ぎ、地域枠の趣旨である医師偏在対策の実効性を高める。
地域枠は、地域医療への従事を主な要件とする入学枠。都道府県が奨学金を貸与し、卒後一定期間の義務勤務を終えると返還が免除されるものが多い。
厚労省は昨年、研修を希望する地域枠学生のリストを全国の臨床研修病院に提供し、マッチングの希望順位登録を行う前に、従事要件と研修プログラムに齟齬がないことを確認するよう求めた。しかし、今年度開始の臨床研修においても、地域枠学生805人のうち9人が離脱し、従事要件外の地域の病院に採用された。
同日の部会では、9人を採用した9病院から経緯を聴取。個々の事情は異なるものの、採用決定前後に奨学金の返済計画を策定するなどして、地域枠に関する契約を破棄していた事例が大半だった。
厚労省は2019年度に実施するマッチングから、従事要件に反する採用を行った病院について、経緯を聴取した上で、補助金の減額や採用人数の減員、指定の取消を検討する方針。さらに、システム改修を行い、従事要件からの離脱が行われていない地域枠学生に対し、病院が誤って希望順位登録をできないようにする。