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認知症? 胃全摘によるビタミン欠乏が原因だった[プラタナス]

No.4926 (2018年09月22日発行) P.3

上田 諭 (北辰病院(精神科)高齢者専門外来/東京医療学院大学リハビリテーション学科教授)

登録日: 2018-09-22

最終更新日: 2018-09-20

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  • 認知症だと紹介されてきて、認知症ではなかったという例が最近とても多い。実は甲状腺機能低下症だったり、肝性脳症だったり、処方された睡眠薬が原因だったり、うつ病だったりする。いずれも教科書に載っている典型的な「treatable dementia」(治る認知症状態)で、認知症ではない。昨今の過剰な「認知症早期発見」啓発の弊害なのではないか。

    かく言う私も、認知症でないものを見誤りそうになった。国立大を出て技術職として海外勤務もした70代の男性が、物忘れと道に迷ったことを主訴に初診した。Mini-Mental State Examination(MMSE)22点(30点満点)と主訴の症状から考えれば、アルツハイマー病(AD)も疑われたが、頭部CT(写真)ではADに典型的な海馬周辺の萎縮は目立たなかった。若年時から「酒豪」で、いまも日本酒2合、ビール大瓶2本を毎日飲むという。10年前には胃癌で胃全摘の既往があった。一般血液検査では、甲状腺機能を含め明らかな異常はなかった。

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