【質問者】
武地 一 藤田医科大学認知症・高齢診療科教授
【2017~25年度の世界行動計画が,わが国の「新オレンジプラン」を参考に策定された】
大きなインパクトがあったものは,2017年5月に開催された第70回世界保健機関(World Health Organization:WHO)年次総会での「認知症の公衆衛生対応についての世界行動計画(Global action plan on the public health response to dementia 2017-2025)」1)の承認です。
本行動計画は,WHOの関連する諸行動計画,WHOとAlzheimer’s Disease International(ADI)が2012年に発表した報告書,Global Dementia Observatory(GDO)の目的,2015年3月の第1回WHO認知症閣僚級会合の成果文書,持続可能な開発目標(sustainable development goals:SDGs),国連の障害者権利条約等をふまえたものとなっています。①認知症の人の人権,②認知症の人と介護者のエンパワメントと関与,③認知症のリスク軽減とケアのための根拠に基づいた実践,④認知症に対する公衆衛生対応における多セクター協力,⑤認知症のためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ,⑥公平性,⑦認知症の予防,治療,ケアに関する適切な配慮,の7つの分野横断的な原則が定められ,その中で行動分野(action area)と世界的な目標(global target)が具体的,明確に定められています。
残り1,101文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する