巻頭コラムという大役に、燃え上がるというより震え上がっていますが、私の人生を変えた一枚を共有します。
「医療は手渡しで学ぶもの」:写真は、5歳の男の子。喉をチラッとみれば一発診断です。私が内科~家庭医レジデントだったころは小児の診察が得意ではありませんでした。あるとき、小児科一筋ウン十年の父に「喉をみてわからなくてどうする!」とコツを教えてもらいました。そういう目でアトラスを見直し、患者さんをみると、「わかる!」。
「教育とは、炎を燃え上がらせることであり、入れ物を埋めることではない(ソクラテス)」:その数年後、当時長野県立こども病院におられた笠井正志先生から「レジデントに小児の病歴と身体診察について教育してほしい」とご依頼をいただきました。これが私の人生を大きく変えました。教えられることは何もない。と開き直って、父の受け売りを「この所見をみたら、検査不要です!」と熱く語りました。それが、「HAPPY(こどもの病歴と身体診察を学ぶワークショップ)」として続いています。ベテランも若手も、職場も地位も関係なく「子どものために学ぶ」「教科書に書いてない秘伝を共有し合う」「仲間をつくる」学びの場となっています。
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