日本医師会の松本吉郎常任理事は5日の会見で、日医主導で産業医の組織化に取り組む方針を発表した。日医、各都道府県医師会に産業医部会・医会を設置し、全国ネットワークを構築するとしている。松本氏は、会内の産業保健委員会で組織化に向けた具体的方策について議論し、今期の委員会の残る任期1年半の間に「ある程度の準備を整えたい」と意欲を見せた。
日医の認定産業医登録数は来年1月、10万人に到達する見通しだという。産業医組織化の方針は、これを契機としたもの。
松本氏は職場の労働環境について、「定年制度の延長・廃止に伴う労働人口の高齢化や外国人材登用、多様な働き方の推進などにより目まぐるしく変化している」と指摘。さらに、「働き方改革関連法の成立によって、産業医・産業保健機能の強化や治療と仕事の両立支援の推進が図られ、産業医に求められる職責は高まっている」と強調した。
松本氏は、産業医の地位向上や仕事に見合った報酬、地域偏在、中立性の確保などの課題解決に向け、「産業医を守る体制作りが重要。多職種との連携・情報交換の場など、組織としての対応が急務だ」との考えを示した。