著: | 勝木美佐子(労働衛生コンサルタント・日本内科学会総合内科専門医) |
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著: | 奥田弘美(労働衛生コンサルタント・精神保健指定医) |
判型: | B5判 |
頁数: | 218頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2025年09月20日 |
ISBN: | 978-4-7849-4756-0 |
版数: | 第2版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
これ一冊で産業医の仕事がわかる「未経験者のための業務マニュアル」
産業医講習会では教えてもらえない実務のハウツーを解説
令和7年改正労働安全衛生法に準拠/無料の電子版付き
◆これから嘱託産業医を始める人のために、必要最小限のノウハウをまとめた業務マニュアル。これ一冊あれば産業医として仕事をスタートできます。
◆健康診断、職場巡視、長時間労働者の面接指導、メンタルヘルス相談、ストレスチェック、就業配慮など、各種業務の流れとチェックポイント、報告書や意見書の書き方を解説しました。
◆産業医の業務に必要な書式のひな形(Word・PDF)を完全収録。
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第1章 産業医に必要なソーシャル・スキル
第2章 健康診断チェックと事後措置
第3章 長時間労働者への面接指導と事後措置
第4章 職場巡視
第5章 衛生委員会
第6章 メンタルヘルス面談
第7章 身体疾患の取り扱い
B5判二色刷り218ページ、無料の電子版付き(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)
第1章 産業医に必要なソーシャル・スキル
嘱託産業医の仕事はどうやって見つける?
契約書の内容を確認する
事業所、労働者との関係性を理解しておく
産業医に必要なビジネスマナー① 名刺交換
産業医に必要なビジネスマナー② メールの書き方
産業医に必要なビジネスマナー③ 身だしなみ
その他のビジネスマナー
第2章 健康診断チェックと事後措置
健康診断と事後措置の流れ
実施前の確認事項
結果の確認作業と二次健診対象者の選定
健康診断結果票に意見を記載する
要治療・要精査者への受診勧告
判定保留者の再判定
事後措置についての面談と意見具申
労基署提出用の報告書を確認する
衛生委員会への報告
健康診断の判定基準
健康診断の事後措置(ケーススタディ)
特殊健診の管理区分
有所見者に対する保健指導
第3章 長時間労働者への面接指導と事後措置
医師による面接指導の意義
面接指導のシステム作り
面接時に必要な書類
面接指導結果報告書および意見書
医師による面接指導の流れ
リスク評価の手順
面接指導のポイント
長時間労働者への事後措置(ケーススタディ)
衛生委員会での報告
第4章 職場巡視
職場巡視の意義
職場巡視の目的
職場巡視のポイント① 作業および作業環境管理
職場巡視のポイント② 防災管理その他
巡視計画の立案と巡視前の確認事項
職場巡視のチェックシート
保護具、被服の準備
職場巡視の進め方
有害物取り扱い作業場の巡視
喫煙対策、メタボ対策
職場巡視の実際(ケーススタディ)
職場巡視を終えたら
第5章 衛生委員会
衛生委員会とは
衛生委員会の審議項目
衛生委員会における産業医の役割
第6章 メンタルヘルス面談
メンタルヘルス面談の種類
人事労務担当者との打ち合わせ事項
メンタルヘルス面談におけるコーチング技法
面談におけるコアスキル①「聴く」
面談におけるコアスキル②「質問する」
面談におけるコアスキル③「伝える」
メンタル不調者面談① 面談の目的
メンタル不調者面談② メンタル症状のチェックポイント
メンタル不調者面談③ うつ病のスクリーニング
メンタル不調者面談④ メンタル不調者の業務軽減
メンタル不調者面談⑤ 意見書の提出とフォローアップ
復職支援① 職場復帰の流れ
復職支援② 休職の判断と休職中のケア
復職支援③ 復職判定の考え方
復職支援④ リモートワークの取り扱い
復職支援⑤ 復職判定面談
復職支援⑥ 復職支援プログラムとフォローアップ
ストレスチェック① ストレスチェック制度の基礎知識
ストレスチェック② ストレスチェックと健康診断の違い
ストレスチェック③ 嘱託産業医が実施者になるときの注意点
ストレスチェック④ 高ストレス者面接とは
ストレスチェック⑤ 高ストレス者面接の手順
第7章 身体疾患の取り扱い
身体疾患を持つ従業員への対応
主治医との連携のとり方
就業配慮・就業制限の進め方
就業配慮が必要な身体疾患① 腰痛、腱鞘炎など整形外科疾患
就業配慮が必要な身体疾患② コントロール不良の慢性疾患
就業配慮が必要な身体疾患③ 睡眠時無呼吸症候群
就業配慮が必要な身体疾患④ がん
就業配慮が必要な身体疾患⑤ HIV感染、AIDS
就業配慮が必要な身体疾患⑥ 障がい者
就業配慮が必要な身体状態 妊娠
2018年に本書の初版を上梓してから7年が経過しました。
その間に、2019年4月に働き方改革関連法案が施行され、長時間労働が厳粛に管理されるようになりました。2020年には、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響により、在宅勤務が急速に推進されました。従業員に対する感染症対策や在宅勤務に関する健康リスクなど、ますます産業医のニーズや使命が認識されております。
労働者不足が明るみになっており、企業は従業員の健康を重視する傾向にあります。その表れとして、健康経営優良法人の認定数も毎年軒並み増加しております。令和に入り、ますます産業医のニーズは増加しております。
一方、認定産業医の有効者数(死亡・失効者を除いた数)は70,208人ですが、そのうち産業医活動をしているのは48.7%の34,166人と言われています(2022年10月日本医師会認定産業医会内データ)。
本書は、「産業医入門編」をコンセプトとして、産業医講習会では教えてもらえない、実務のハウツー本としてまとめております。今回の改訂に伴い、法律改正があった部分をアップデートしておりますが、ご多忙の先生方にとって負担のないよう「超・入門編」としてさらに実践的なコアな部分のみにまとめております。
産業医として重要なのは、相手が患者さんではなく、クライアントさんということです。産業医先でも「指示」ではなく、「アドバイス」をします。言葉の端々にこの意識の相違を相手は感じますので、臨床とは違う対応のコツをしっかりと解説しました。
また、産業医が活動する場は、医療現場ではなく、実際にビジネスが行われている「事業所」(企業)です。そのため医療現場では通常必要とされないようなビジネスマナーを、産業医も最低限は身に着けておかないと円滑な信頼関係が築きにくくなります。本書では、産業医が身に着けておくべき基本的なビジネスマナーについても解説しました。
今まで躊躇されていた先生方が、この本をきっかけに「産業医をしてみよう」と思っていただけたら幸いです。実際に産業医活動を始めたとき、この本はきっと先生方のお役に立つでしょう。
先生方とともに日本の産業衛生を進めていければ、私たちにとって望外の喜びです。
勝木 美佐子・奥田 弘美