順天堂大は10日、医学部の入学試験において、女性や浪人生に不利な取扱いを設けていたことを明らかにし、謝罪した。また、北里大も同日、医学部入試の繰り上げ合格で男性と若年者を優先していたことを公表し謝罪した。
東京医大の不正入試問題を受けて、文科省は10月、東京医大を除く80大学を対象に医学部入試に関する調査を実施。その結果、複数の大学において不適切な事案が明らかになったことを発表するとともに、大学自らが公表するよう求めていた。
順天堂大は、二次試験において女性に不利な取扱いを設けていた。具体的には、二次試験(小論文と面接)の評価点(1.0~5.4点)は点数が低いほうが高い評価となるものの、女性の基準点を男性より0.5点高く設定した。
この理由について同大は「一般的に大学入学時点の年齢では、女子の精神的な成熟は男子より早く、相対的にコミュニケーション能力が高い傾向にある」と指摘し、「判定の公平性を確保するために男女間の差異を補正するものと考えていた」と釈明した。
また、一次試験においても、成績順位201位以下で女性と浪人生に不利な取扱いを設けていた。一次試験で女性に不利な取扱いを設けた理由については、同大の一年生は寮で共同生活を送ることを教育方針としていることを紹介し、「施設面で女子寮の収容能力には制限があったため」とする。
こうした不利益な取扱いにより不合格となった受験生は、一次試験では2017年度52人、18年度65人。二次試験では17年度24人、18年度24人に上る。同大は、一次試験の不合格者117人に対して入学検定料を返還。二次試験の不合格者48人は追加合格とし、個別に入学の意向を確認する。
北里大は、2018年度一般入試の繰上合格において、補欠合格者への電話連絡に際し、成績順位順ではなく、男性や若年者を優先していた。男性を優先した理由について同大は「正規合格者の男性の辞退率が女性よりも高いため、抜けた男性を確保するためだった」と説明。若年者を優先した理由は、入学後の実習において体力的に優位のためとする。
2大学ともに今後の入試において、こうした取扱いを止めるほか、この問題に関してさらに調査を進めるとしている。