厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」(片峰茂座長)が12日に開かれ、医師が少数の地域で勤務した医師を認定する制度について具体的な議論を開始した。2020年4月施行に向けて、19年度中に制度設計を固める方針。
同制度は、医師偏在対策の一環として6月に改正した医療法に盛り込まれた。認定を受けた医師は、一定の病院の管理者として評価する。“一定の病院”について厚労省は、まずは医師派遣・環境整備機能を有する地域医療支援病院とする方向で検討している。
厚労省は同日の分科会で、認定に必要な一定期間の業務経験として、地域の患者への継続的な診療や診療時間外の患者の急変時の対応、地域ケア会議への参加、健康診査・保健指導の実施などを提示。
勤務期間については、現在行われている医師派遣事業などの状況を踏まえ、6~12カ月の間で設定するとし、継続的な診療の評価の観点から、原則として同一医療機関に週32時間以上(育児・介護休業法の規定に基づき短時間勤務を行っている場合は週30時間以上)の勤務を求めた。妊娠・出産・育児・傷病などの理由で勤務を中断した場合に限り、中断前後の期間の合算が可能。臨床研修中の期間は勤務期間には含めないとした。
業務経験について小川彰構成員(岩手医大理事長)は「専門医の治療が必要かどうかといった臨床判断ができるということを到達目標として加えてほしい」と要望。福井次矢構成員(聖路加国際大学長)も、「経験だけでなく、アウトカムを評価できると良いのではないか」と述べた。一方、三根浩一郎構成員(全国老人保健施設協会副会長)は、「医師少数地域に行ってもらうのが第一」と強調し、求める業務が多くなりすぎることを懸念した。
勤務期間について今村聡構成員(日本医師会副会長)は、「地域枠や地域医療支援センターから派遣されて医師少数地域に行く経験の浅い医師は1年程度とし、一定程度臨床経験を持った医師であれば、ある程度期間が短くても良いのではないか」との考えを示した。