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(3)IPMNに合併・併存する膵癌とその診断法[特集:膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の診断と経過観察法]

No.4940 (2018年12月29日発行) P.36

鎌田 研 (近畿大学医学部附属病院消化器内科)

竹中 完 (近畿大学医学部附属病院消化器内科講師)

工藤正俊 (近畿大学医学部附属病院消化器内科主任教授)

登録日: 2018-12-31

最終更新日: 2018-12-25

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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に通常型膵癌が合併・併存することが知られている

本特集ではIPMNに合併・併存する通常型膵癌を「IPMN併存膵癌」と称する

IPMN併存膵癌は,IPMN自体が悪性化した状態である「IPMN由来癌」とは異なる。両者は画像所見,肉眼所見,組織学的所見にわけられている

IPMNの多くは経過観察となるが,経過観察を行う上でIPMN併存膵癌の発生に注意する必要がある

IPMN切除後においても全摘術を除いて残膵にIPMN併存膵癌が発生しうる

IPMN併存膵癌の早期発見においては,超音波内視鏡(EUS)が重要な画像診断法となりうる

1. 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の診断における超音波内視鏡(EUS)の有用性

「IPMN国際診療ガイドライン2017」1)により,膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)の診断方法と治療方針が示された。IPMNの悪性指標としてhigh-risk stigmata(HRS)およびworrisome features(WF)が設けられ,画像診断によってHRSの所見を認めた場合は手術を考慮し,WFの所見を認めた場合は超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography:EUS)検査を行い,その結果に応じて手術を考慮するという方針となった。
このように,IPMNの初回精査においてEUSは重要な役割を果たす。初回精査の結果,非切除の方針となったIPMNに対しては,将来IPMN自体が悪性化しIPMN由来癌となるリスクがあるため,経過観察が必要となる。

近年,IPMNとは離れた部位に通常型膵癌(IPMN併存膵癌)が合併することが知られており,IPMNの経過観察時にはIPMN併存膵癌発生の可能性も考慮し,膵全体のスクリーニングが必要と考えられる。

IPMN国際診療ガイドライン2017では1),IPMNの囊胞径に応じて経過観察時に使用する画像診断法やフォローアップの間隔が明確化されている。EUSは囊胞径20mm以上のIPMNに対して用いられる。囊胞径の大きい病変ほど,close follow-upとなっている。これは,IPMN自体が悪性化するリスクを考慮し設定された経過観察法である。しかしながら,前述のごとくIPMNの経過観察を行う上で,IPMN併存膵癌の発生に関しても注意を要する。

EUSは,IPMN併存膵癌の診断,早期発見において重要性の高い検査法であると考えられる。IPMN併存膵癌の発生の可能性を考慮した場合,現行のIPMNの経過観察法は再考の余地があると考えられる。本特集ではIPMN併存膵癌に焦点を当て,主に早期発見について文献的考察を交えて言及する。

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