胆囊結石は,組成によりコレステロール結石(純コレステロール石,混合石,混成石)と色素結石(ビリルビンカルシウム石,黒色石),その他の結石に分類される。コレステロール結石は胆囊で胆汁が濃縮される際にコレステロールが遊離,結晶化して形成され,患者の特徴として40~50歳代(Forty to Fifty),女性(Female),肥満(Fatty),多産(Fertile),白人(Fair)の5Fが有名である。ビリルビンカルシウム石の発生には胆汁うっ滞と細菌感染が関与しており,細菌感染の多くは十二指腸乳頭を介した逆行性感染と考えられ,乳頭機能が低下した高齢者に多い。黒色石は,遺伝性球状赤血球症や心臓機械弁置換術後で溶血性貧血をきたす患者に認められる。
腹部超音波が最も簡便で,音響陰影を伴う高エコー像として結石を描出し,併存する胆囊炎の有無もとらえることができる。一方,純コレステロール石はX線陰性となるので注意が必要である。胆囊摘出術を予定する場合には,MRCP(magnetic resonance cholangiopancreatography)で胆管の走向破格や胆管結石の有無を確認しておく。
症状,結石の種類,胆管結石の有無で方針を決定する。治療法の主体は腹腔鏡下胆囊摘出術である。以前は胆石溶解剤の内服や体外衝撃波による結石破砕が行われたこともあるが,結石の完全除去が難しく,再発率も高いため最近は行われない。重症胆囊炎合併例では,胆囊ドレナージ(経皮経肝的胆囊ドレナージ術など)を優先させた後に胆囊摘出術を行う。
胆管結石がコレステロール結石(胆囊からの落下結石)の場合には乳頭機能が正常であると考え,胆囊摘出と同時に乳頭括約筋を温存する胆管切開・切石術を一期的に行うことを検討してもよい。ビリルビンカルシウム石の場合には乳頭機能が低下していることが多く,内視鏡的乳頭処置下切石術(乳頭括約筋拡張術や乳頭括約筋切開術)と胆囊摘出術を二期にわけて行う。実臨床では手技の簡便性から結石の種類によらず二期的治療を行うことが多い。
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