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介護医療院の誕生[炉辺閑話]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.21

武久洋三 (日本慢性期医療協会会長)

登録日: 2019-01-02

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いよいよ介護医療院が誕生した。高齢者がどんどん増えているのは事実である。2025年までに現在よりまだ約400万人も増加するとはいっても、2040年には既にピークを過ぎることはわかっている。すなわち、この約20年間の対応が急がれているのだ。しかし、増加するからといって今から特養などの居住系施設をどんどん増やしても、地域によっては間もなく、都会でも20年で入所者は減少してくるのだ。建物は建築すれば40年以上は使用可能である。都会でも、よくて半分の20年後からは、空床が増えることになりそうである。

一方で、病院病床は現に約30万床が空床であり、高齢者が増えているにもかかわらず平均在院日数の短縮により、年齢階級別にみた受療率(人口10万対)は65歳以上でみても、1984年の4359から2014年の2840へと約1500減少しているのだ。そうなれば、今現在空床である病床を居住系施設に転用することがベストであろう。

2018年4月1日から転換が始まった老健や特養のように、1人当たり8m2、10.65m2の広さはなくとも、現在の一般病床の基準の6.4m2でも可、という誠に的を射た政策である。介護療養型医療施設は介護医療院になるとしても、一般病床もどんどんシフトしてゆくべきである。

一部の病院では「4.3m2の6人部屋でも介護医療院にできるようにしてくれ」などと言っているが、あまりにも自己中心的であり、入所する患者のことはまったく考えていないようだ。4.3m2×6=25.8m2、6.4m2×6=38.4m2であり、転換すると病床数が2/3になるということが嫌らしい。一般病床は既に2001年に1人当たり4.3m2から6.4m2に制度の法律改正が行われているにもかかわらず、経過措置のぬるま湯の中にどっぷり浸かって設備投資の資金まで創業者利益にしてきた甘えが見え見えであるが、私はそのような病院も助けてあげるべきだと思う。同じ仲間なのだから協力しなければならない。皆で辛抱し合って、この高齢者爆増時代を乗り切りましょう。

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