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はりま姫路総合医療センター[炉辺閑話]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.23

木下芳一 (島根大学医学部内科学講座第二教授/地域医療連携推進法人はりま姫路総合医療センター 整備推進機構理事長)

登録日: 2019-01-02

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地域医療連携推進法人とは、地域の医療機関等の様々な連携を推進して それぞれの診療圏の良好な医療供給体制の維持・改善を図ろうとするものである。

私が理事長を務める法人は、兵庫県の西部にある姫路播磨医療圏の400床規模の2病院を統合して736床の最新の医療センターをJR姫路駅前に建設し、医療圏全体の医療供給体制を改善することをその目的として設立されている。

私は生まれてから研修医の頃まで兵庫県の西部で暮らしたため、この地はとても懐かしい地域である。姫路市は兵庫県第二の人口規模を有する市で、医療圏全体では約80万人の人口となる。ただ、人口当たりの医師数は少なく、現在私が教授として地域医療にも関与している島根県では、隠岐の島の隠岐医療圏に匹敵する医師数である。医師数が少ないこともあってか、医療機関の救急応需率は高いとは言えない数字にとどまっている。

そこで、新しい医療センターは医療圏全体の医師数を増やすことを目的として、医療圏すべての医療機関と協力して若い医師が圏域にとどまって、十分な研修を受け成長していくことをサポートできる体制をつくること、さらに、若い医師たちと一緒になって断ることがない最高レベルの救急医療供給体制を構築することを、最重要なミッションとしている。

医療に関しても最近は民間企業の経営理念が大きく入り込み、収益性重視の傾向がどんどんと強くなっている。医療を営利活動ととらえるのであればそれも良いだろうが、福祉ととらえると多くの問題点が見えてくる。病院で行われる医療行為の中で収益性の高い部分はがんの手術など一部に限られている。保険制度が2年おきに大きく変わるたびに高収益部門が変わり、病院はこれに対応するために右往左往する。

この傾向は、私が勤める大学病院でもまったく同じである。医療に回せる国家予算に限りがあるため仕方がないとは思うが、大学人としては、現在の商業医療に若者が巻き込まれて医療の本質がゆがんだり、将来の医療の改善に向けた研究活動のすそ野が侵食されていくことは、何としても避けたいと考えている。

新しい医療センターの最大のミッションのひとつは若手医療者の養成であるため、経営教育はそこそこにして医療の本質を学び、実践できる医療センターを若者たちと構築していくことが私の仕事だと思っている。

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