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「夢と誇り」をもって[炉辺閑話]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.28

樋口和秀 (大阪医科大学第二内科教授)

登録日: 2019-01-02

最終更新日: 2018-12-25

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本庶佑先生がノーベル生理学・医学賞を受賞された。非常に喜ばしいことで日本の誇りである。その本庶先生がどこかでインタビューをお受けになられて、ある新聞にそのお話が載っていた。

幼少時に野口英世博士にあこがれて医師になったとのことである。私も幼少時に野口英世博士の伝記を父に読んでもらった。その時から将来医師になろうと決意した。本庶先生との予想外の偶然に非常に驚いた。その詳細は異なるかもしれないが、私は、小さいながらにも医師という職業を人の役に立てる、尊敬できる職業としてずっと憧れ、ついにその夢を実現することができたのである。

医師という仕事は、臨床では、患者さんの命を預かりしっかりと診療しなければならない。そこに誇りをもって日々の診療をしていれば、医療事故も少なく、安心・安全な医療を遂行できる。

また、一方では、基礎医学も含めてであるが、夢をもって研究をすることが医療の発展には不可欠である。そのことに誇りをもって取り組む姿勢が大事である。

女性医師も夢をもって医師になったはずである。結婚や出産でその夢を果たせない先生たちも多い。周りの人たち、医局、病院、大学など世の中のシステムの改善や意識改革をもっともっとするべきである。まだまだ働きにくい職場が多い。女性医師の夢をかなえてあげて、一生涯、医師として働けるようにしてあげようではありませんか。

東大阪の職人さんたちが「夢と誇り」をもって、大企業と戦っている。その結果、「まいど1号」という人工衛星をつくって打ち上げた。すごいことである。まず、夢を持つこと。その夢を実現するために、自分の仕事や技術、組織に誇りをもって取り組むことが自分たちの力になる。実力以上の力を発揮する可能性も秘めている。わたしは、医局員にいつもこのことを言っている。「夢と誇りを持って」人生を楽しく有意義に生きていきましょう、と。

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