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なぜ、この人は僕を信じてくれるのだろう?[プラタナス]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.3

小豆畑丈夫 (小豆畑病院病院長/日本大学医学部救急医学)

登録日: 2019-01-08

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  • この書を10年以上ぶりに病院の壁から下ろした。写真撮影のためである。額を外してみると、自分の字で書かれた裏書きを見つけた。

    初診:平成15年1月28日
    手術:平成15年4月25日
    永眠:平成18年3月13日15時28分

    私は平成7年大学卒業なので、医師になって8年目、米国でのがん遺伝子研究を終えてまもなくの時期に進行胃がんに対する胃全摘術を執刀した。大学勤務であった私は、医局の大先輩に前立ちをして頂いて実家の病院で手術を行った。胃のがんは手術で取り切れたが、総肝動脈周囲にリンパ節転移を認めたためTS-1による補助化学療法を実施した。毎週一度、東京の大学から茨城の小豆畑病院に通い化学療法を行った。

    しばらくは再発兆候もみられず、70歳台であった患者さんは元気に軽トラで私の外来に通い、いつも「先生のお陰で命拾いしたよ」と笑顔を見せてくれた。そのとき私はこの書を頂いた。磐城石川とは小豆畑病院を創った私の父の出身地である。那珂とは小豆畑病院の所在地・茨城県那珂市である。

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