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天才外科医ブラック・ジャックの症例検討会[炉辺閑話]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.92

長島公之 (日本医師会常任理事)

登録日: 2019-01-06

最終更新日: 2018-12-26

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日本で最も有名な外科医は、ブラック・ジャック(以下、BJ)であろう。医師免許がないのに、手術の腕は天才的で、法外な治療費を要求するこのアウトロー的な外科医は、医師でもある手塚治虫の同名マンガの主人公であり、1973年から約10年間、週刊少年チャンピオンに連載されたが、現在でもその人気は続き、BJに憧れて医学部をめざした学生も少なくないという。

連載当時、高校生であった私も、BJに登場する、めずらしい疾患や、実現不可能とも思われる手術の面白さに魅了された。だが、BJの診断や手術は正しかったのか、進歩した今の医療なら、もっと良い治療ができるのではないか、という疑問を持つ者も多い。私は、BJの症例検討会を2回主催することができたので、その経験を紹介する。

最初は2000年のことである。出版社からBJに関する本を出したいという相談を受けた私は、医療系メーリングリストで、全国のBJファンである開業医に参加を呼びかけて、自分の専門の分野でのBJの手術を検討してもらうことを提案し、数十名が参加するBJ症例検討会が誕生した。検討の結果は、単行本『ブラック・ジャック・ザ・カルテ』、『カルテ2』、『カルテ・ファイナル』の三部作として、出版された。

十数年たった2016年、BJ症例検討会が生まれ変わった。製薬会社の医療関係者向けホームページで「ブラック・ジャックを『今』読み解く」という企画の立ち上げの際、相談を受けた私は、今度は大学教授など、現在の最前線で活躍する医師との対談形式の検討会を提案し、私が、対談のホスト役を務めることになった。約2年間で24名の各分野のトップランナーの医師が登場し、最新の知識と経験から検証を行ったが、知的興奮に満ちた対談の連続であり、大変貴重な経験となった。

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