ある企業の経営者は、本を読むことは重要な仕事と言っている。自分の仕事と関係のない本を読み、幅広い知識を得て、あらゆるものに興味を持つための読書は決して経営者だけではなく、生存競争の激しい今の社会によりよく生き延びるための、すべて人の知識背景として役に立つものと考える。経営者、組織の上に立つ人は孤独で、何事も一人で決めなければならないことが多い。書物からの知識などは実によい相談相手になる。
本誌に、ある先生が次のように、医学部入学後の比較的余裕のある最初の2年間に、医学以外の幅広い文学、社会科学等の読書をし、広い視野と教養を身につけることの大事さを述べておられる。しかし、大学時代にほとんどこれに気づくことがなく、クラブ活動などに時間が取られ、時間的余裕がなかった人がほとんどであろう。四、五十歳過ぎになってから、少し時間的にゆとりがあるような気がする。それでも遅くないので、専門分野以外の書物を読書しよう。
新聞の活字で過去に起きたことを知り、本の活字に近未来に起きる想像の世界があり、そこから自分の仕事に役立つ概念、発想が出てくる。どちらからも知識、教養が身につくものである。知識や学歴は永遠に残る。名声やお金は奪われるが、体で覚えた技術、頭に刻んだ知識は奪われない。それで食べていける。知識は世界中のどこでも通用する。
以下は、いろいろな読書から得た雑学である。雑談などにこれらのものを言い出し、物知りで周りに敬服される。
〈経済関係〉
周期説:日本は戦前から現在まで25年ごとに変化してきた。1970~95年は豊かさと安定の25年。1995~2020年は衰退と不安の25年。
スウェーデン中央銀行は欧州の紙幣の生みの親、17世紀に創設された世界最古の中央銀行である。
〈法則〉
ジャネーの法則:年齢依存の時間感覚で、1日の長さの時間感覚は加齢とともに短くなる。
イギリスの人類学者、ダンバー数:安定な関係を維持できる「知人」の数は150人。
リトルの法則:行列の待ち時間を測定する方法は、たとえば、前に100人並んでいた、自分が列に並んだ1分後に5人並んだ。100を5で除して、20が推定時間(分)になる。
その他、実に多くの雑学のメモ書きがある。これ以上は誌面が許されないでしょう。