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事前指示書[炉辺閑話]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.58

福間誠之 (特別養護老人ホーム洛和ヴィラ桃山医務室)

登録日: 2019-01-04

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超高齢社会となった日本では高齢者施設で最期を迎える人が多くなり、今後さらに増加すると予測される。特別養護老人ホームの施設医として、入所してきた高齢者の家族と入所後の生活についての話し合いの中で、やがて迎えなければならない終末期の医療に関して意見を求めるが、わからない、という回答が多い。

本人は認知症で意思表示が困難なことが多いが、できるだけ本人の意思を尊重したいと考え、これまでの日常生活の中での言動などから本人の人生観のようなものを尋ねるようにしている。

家族は、認知症の高齢者がどのような経過をとって最期を迎えるのか想像がつかないことが多く、自分で歩くことができなくなり、食べることも困難となり、最後には嚥下ができなくなることを説明する。

施設では栄養士も加わってケアプランを作成しているが、末期になり経口摂取量が少なくなり体重も減少してくると、いろいろ工夫をして、高カロリー栄養食などを提供しているが、終末期で家族の同意が得られれば、無理に食べさせるのではなく、本人の楽しみだけの食事(comfort feeding only)を提案している。

高齢者の老衰が進行して末期が近づいても死期の予測は困難であるが、介護士の日常の世話の中で弱ってきているのを感じることが多いようで、そのようなときには家族に連絡をとってもらい、終末期医療に関して事前指示書を家族と一緒に作成して、延命措置を希望しない高齢者を急変時に救急病院へ搬送しないようにしている。

事前指示書は、家族の同意を得るタイミングが大切である。あまり早いとわからないことが多く、遅くなると心肺停止で救急搬送されることになる。施設に入所しているので高齢者は常に終末期の対応が求められ、その対策を心がけていなければならない。

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