昨年6月に成立した改正医療法に基づき、昨年10月から病床機能報告制度が始まり、続いて、それに基づく地域医療構想の策定が予定されている。しかしながら、この病床機能報告制度からも地域医療構想の策定からも、精神科医療は除外されたままである。地域医療を考える際、精神科医療を外して全体の構想が描けるはずがない。
厚生労働省において、一般科医療は「医政局」、精神科医療は「社会・援護局」が所管している。そうした役所の事情があるにしても、一般科医療だけで地域医療構想ができるというのは事実誤認としか言いようがない。あるいは、とりあえず地域医療構想を作っておいて、次のステップで精神科医療を含めた本来の地域医療構想を描き上げるつもりなのであろうか。
2013年度から医療計画に記載すべき疾患に精神疾患が加わり、「5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急医療、災害時における医療、へき地医療、周産期医療、小児救急医療を含む小児医療)」になった事情に鑑みれば、今回の地域医療構想に精神科医療を包含させるのは当然のことと思われる。
2014年度の診療報酬改定の目玉の1つは、2025年問題を見据えた地域包括ケアシステムの推進であった。この地域包括ケアシステムにおいても、精神科医療がどのように関与するのかについてはまったく触れられていない。どうも精神科医療は、今後の医療提供体制の中で困り者扱いされているように思えて仕方がない。
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