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超高齢社会と再生医療等製品[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.27

岡田尚巳 (日本医科大学生化学・分子生物学 (分子遺伝学)大学院教授)

登録日: 2019-05-01

最終更新日: 2019-04-25

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  • 今後も超々高齢社会の到来が予測され、後期高齢者のQOL改善や介護に頼りすぎない社会作りが求められる。そのためには、社会全体で慢性疾患を克服することが重要と考えられる。特に再生医療等製品の側面から今後の医療を予測してみたい。

    遺伝子や代謝経路のネットワークに関する理解が急速に進展している。慢性疾患における病態が総合的に把握されれば、その知見を応用した治療法の開発が予想される。また、タンパク質の高次構造解析技術の進歩に伴い、様々なタンパク質間相互作用が知られるようになってきており、特定の相互作用を阻害する化合物を理論的に設計することが期待される。

    次世代バイオ医薬品として、様々なペプチド、抗体医薬や核酸医薬が実用化されているが、標的化が十分ではない。細胞内への送達効率が高い薬剤は尿細管障害などの副反応が課題となる。また、免疫原性が低いとされているものであっても、反復大量投与による血中タンパク質との結合の結果、不完全抗原と認識されて免疫応答が生じ継続投与が困難となる。このため、組織、細胞、細胞内小器官まで標的化できれば反復大量投与は避けられ、安全性や効果が大きく改善できると期待される。特に網膜や脳など送達が困難な組織への薬剤送達技術の開発が重要である。また次世代バイオ医薬品として、様々な幹細胞やウイルスベクターの期待が高い。

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