中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)は15日の総会で、2020年度診療報酬改定に向けて「患者・国民に身近な医療の在り方」をテーマに討議した。外来医療の機能分化を進める観点から、かかりつけ医の評価を充実していく方向性には診療側、支払側ともに賛同しているものの、評価の方法を巡っては意見の隔たりがみられた。
18年度改定では、かかりつけ医機能を有する診療所と200床未満の病院などの初診料に「機能強化加算」(80点)が創設された。また、紹介状なし受診患者から定額徴収を行うことを責務とする対象病院を「特定機能病院および400床以上の地域医療支援病院」に拡大した。
意見交換の中で、診療側の城守国斗委員(日本医師会)は、どの医師がかかりつけ機能を持っているか分かりにくいとの指摘があることに触れ、「適切な講習を受けたことを明示する」「医療機関検索サイトにかかりつけ機能の有無を表示する」などの仕組みを提案。松本吉郎委員(同)は「国民の健康管理をしっかり行うためにも、かかりつけ機能の評価充実は大事」と述べ、城守氏の発言に出た“適切な講習”の例として、日医の「かかりつけ機能研修制度」を挙げた。
一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会)は、かかりつけ機能強化加算について「医療機関へのインセンティブにはなったが、患者の受療行動を変える効果は薄かったのではないか」と指摘。「どんな病気でもまずは相談に乗ってくれるとか、必要な時に専門医に紹介してくれるといった、患者が(かかりつけ医に)求めている役割に応じて評価すべき」とし、要件の見直しを主張。さらに幸野氏を含む複数の支払側委員が、紹介状なし患者から定額負担を徴収する対象病院の拡大を求めた。