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小関三英(6)[連載小説「群星光芒」159]

No.4746 (2015年04月11日発行) P.66

篠田達明

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-21

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  • 「三八の会」を主宰し始めた頃からです、三英さんの目の奥にますます「フレイヘイド」の輝きがみられるようになったのは。

    あなたの表情はときに威厳にみち、近寄りがたい雰囲気を漂わせているかと思えば、まるで夢物語に酔っているかのように見えることもありました。もしかして百姓町人が皇帝を処刑して御政道をひっくり返したという「フランス国大革命の乱」の炎が胸の内で燃えていたのかもしれません。

    後日、奥様に焼却処分するよう頼まれたあなたの遺稿の中に『那波列翁伝』の翻訳草稿がありました。

    恐る恐る拾い読みしてみると、こんな行が目につきました。

    「ナポレオン・ボナパルト、この軍隊に在ることいくばくもなくしてフランス国の転覆に遇えり。これを当今、『ヨーロッパ総州革命の乱』と称す。この時に至りて民、虐政に抑屈すること極まり、以てここに及ぶ。これ自然の勢いにして天の令するところなれば、強いてこれを防ぎとどむべからず。四方の英雄豪士踊躍して、不羈(自由)の世となるを歓び、百姓奮起して再び正明の治定まるを待つ」

    ほかにも恐ろしいことがたくさん書いてありました。

    「それ人は各々、相ために益を施すことをつとむべし。一己の利を求むることなかれ。フランスの『ゲメーネベスト(共和政府)』は、向後汝らを安全にせんと心を尽くす。汝らもまた自らつとめて害を除き捨て『ゲメーネベスト』の意を助けよ。衆、願わくばよく相和睦すべし。これ和睦は『フレイヘイド』の功なり。故に各々死を以て『フレイヘイド』を守るべきなり。『ゲメーネベスト』をよく立つるときは人びと安堵して利益を得るなり」

    残り1,630文字あります

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