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【書評】『東邦大学医療センター大森病院間質性肺炎センターではこうしている 最新 間質性肺炎診療』呼吸器専門医のみならず,かかりつけ医や研修医,その他の皆様に広く一読をお薦めする

No.5270 (2025年04月26日発行) P.67

坂東政司 (自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門教授)

登録日: 2025-04-22

最終更新日: 2025-04-22

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このたび,わが国の間質性肺疾患(interstitial lung disease:ILD)診療の中核的医療機関である東邦大学医療センター大森病院間質性肺炎センターから『最新 間質性肺炎診療』(日本医事新報社)が上市された。

ILDは肺の間質を炎症や線維化の基本的な場とする拘束性肺疾患である。ILDの患者数および死亡者数は国内外で年々増加し,2023年人口動態統計(確定数)では日本人の死因の第11位で,呼吸器系疾患の死因では肺炎,肺癌に次いで第3位となっている。ILDは,原因を特定できるILD,現時点では原因を特定できないILD,その他のILDに分類され,現時点では原因を特定できないILDの中には,わが国の指定難病の1つである特発性間質性肺炎も含まれる。 

近年,様々なILDの診療に関するガイドラインや,手引き・指針が作成され,国内外の最新エビデンスが紹介されている。しかし,いざ目の前のILD患者を診療しようとすると,エビデンス-診療ギャップ(evidence-practice gap:EPG)により,これらの書籍を上手に利活用できないことをしばしば経験する。このような状況において,本書の目次および執筆者一覧を見ると,本書がILD診療のEPGを埋める役割を果たすことは一目瞭然である。そして第1章から第12章までの内容を熟読すると,2017年に本間 栄先生(前東邦大学呼吸器内科教授)により設立され,坂本 晋先生に引き継がれた大森病院間質性肺炎センターにおいて,これまで行われてきた多職種(医師,看護師,理学療法士,管理栄養士)による包括的な実践アプローチの極意がぎっしりと詰まった内容となっている。さらに7つのQ&Aでは,日常診療で遭遇する疑問に対して,症例呈示を加え,わかりやすく解説している。

執筆者の多大なご尽力によって作成された本書を,呼吸器専門医のみならず,かかりつけ医や研修医,医療スタッフ,医療系の学生,患者さんとその家族,製薬会社などの皆様に,広く一読をお薦めする。

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勤務地: 長崎県大村市

急性期から回復期、維持期までの疾患の治療・管理はもとより、予防医学としての健診事業にも力を注いでいます。
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救急医療体制については、1次から3次まで幅広く患者さんを受け入れています。
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なお、日当直体制では、内科・外科系及び循環器系で 救急体制を整えています。
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