文部科学省は6月28日、大学病院で診療しているにもかかわらず給与が支給されていない医師・歯科医師が、全国で少なくとも2191人確認されたとの調査結果を公表した。調査を受け同省は、全国の国公私立大学長宛てに、適切な労務管理と雇用契約の締結を求める通知を発出した。今後、改善策の履行状況を確認する方針。
調査は今年1~5月に、文科省が全国の大学に依頼し、99大学108附属病院(本院)で診療に従事した教員以外の医師・歯科医師3万1801人に実施したもの。昨年9月期の給与(謝金を含む)の支給状況や今後に向けた改善策などを尋ねた。回答に当たっては出勤簿の確認のほか該当者への聴き取りなども実施し、大学当局だけで判断せず学内外の弁護士等に確認するという要件を付した。
給与の支給状況をみると、大学病院が給与を支給していたのは2万4712人(104病院)。3594人(66病院)については、「自己研鑽・自己研究目的で診療に従事している」「別の本務先から給与が支給されている」など、“合理的な理由”があるとして支給していなかった。
一方、大学病院が給与を支給しておらず、今後あるいは遡及も含め支払うこととした者は、全体の7%に当たる2191人。うち1440人(35病院)には“合理的な理由”によって支給していなかったが、751人(27病院)には“合理的な理由”なく支給しておらず、労働上限時間を超えて診療に従事していた者も確認された。1304人(7病院)は引き続き精査が必要と判断された。
雇用契約については調査時点で6571人(21%)が未締結、6098人(19%)は労災保険に未加入だった。