数年前のある日、診療所を受診した16歳男子。問診票の主訴は「禁煙」と書かれていた。喫煙が見つかり、学校の先生に受診するよう言われてやってきたのだ。通り一遍の禁煙外来を行うも、指導を受け既にたばこはやめており、たばこの話をするも「はい」と気のない返事が続き、あまり話を引き出すこともできなかった。フォローの予約には現れず、電話連絡するも「もう大丈夫そうなので」とのことで診療は終了となった。しかし、あまりの手応えのなさに「この子はきっとまた喫煙するのではないか」という気がしてならなかった。
思春期の喫煙は近年では減少傾向にあるが、本来禁止される行為であり、公に喫煙を認めた上でのサポートが難しいなど、禁煙支援には課題が多い。問題意識を持った診療所の仲間でチームを作り、喫煙者が多いことを課題ととらえている高校へ「出張禁煙外来プロジェクト」を始めることになった。喫煙が見つかって禁煙を希望する生徒に対し、学校の給食時間に訪問し「出張禁煙外来」として実施した。
残り492文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する