2006年9月のまだ暑い時期であった。関節リウマチで外来に通院していた元気のいい40歳代の女性に、数日前から38度以上の発熱、激しい咳が出現していた。長年、リウマチ科にいたためか、常に感染症の心配はしていた。当時の治療は、ステロイドや免疫抑制薬は使用しておらず、免疫調節薬のブシラミン(リマチル®)のみであった。
ベースがリウマチなので一応、胸部X線を撮ってみたところ、両肺に結節性の陰影を認めた。「これはいかん」と思って、胸部CTを撮ったところ、写真のような境界がやや不明瞭な結節性陰影であった。パターンからみて、細菌性ではなく、結核でもなく、真菌性かもしれないと思った。喫煙歴なし、ペットの飼育や餌やりもしていなかった。患者さんには、「肺に多発する陰影があり、肺のカビかもしれません。大学病院にすぐ紹介します」と言って紹介状を作成し、翌日には受診してもらった。
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