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進行肝細胞癌薬物療法の治療方針について

No.4989 (2019年12月07日発行) P.52

上野 誠 (神奈川県立がんセンター消化器内科(肝胆膵)医長)

小笠原定久 (千葉大学大学院医学研究院消化器内科特任講師)

登録日: 2019-12-04

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  • 進行肝細胞癌の薬物療法として,ソラフェニブ登場後,多くの臨床試験が行われてきました。近年,一次治療としてレンバチニブ,二次治療としてレゴラフェニブ,ラムシルマブがわが国で薬事承認され,さらに新たな分子標的治療薬の承認が待たれています。現時点での進行肝細胞癌薬物療法の治療方針について,先生のご意見をお聞かせ下さい。
    千葉大学・小笠原定久先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    上野 誠 神奈川県立がんセンター消化器内科(肝胆膵) 医長


    【回答】

    【現時点のベストプラクティス=各薬剤の特性をふまえた治療選択】

    複数の分子標的薬が使用可能となった“multi-molecular target agent(MTA)時代”において,どの薬剤を選択すべきかが,次の臨床的な課題であると考えます。現時点では,日常診療で各種薬剤を使用したデータ(リアルワールドデータ)が乏しく,各々の薬剤の特性を第3相試験のデータから紐解き,治療選択をすることが肝要かと思われます。

    まず,一次治療として承認されたレンバチニブは,ソラフェニブに対する全生存期間の非劣勢を示すデザインで第3相試験が行われました。レンバチニブは,ソラフェニブに比して非劣勢を示すことができ,かつmodified response evaluation criteria in solid tumors(mRECIST)(腫瘍の血流変化に重きをおいた抗腫瘍効果判定)を用いた場合,ソラフェニブに比して有意に高い奏効率,長い無増悪生存期間が示されました。有害事象においては,ソラフェニブで懸念された皮膚障害の頻度は少なく,一方で食欲不振,疲労,高血圧,および甲状腺機能低下症を高頻度に認めました。最近実臨床においてレンバチニブをソラフェニブ後に使用したデータが複数報告され,一次治療とほぼ同等の奏効率および無増悪生存期間を示す可能性が示唆されました。

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