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“ヒト身中の虫”は、わるさするだけとちがいます [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(2)]

No.4694 (2014年04月12日発行) P.75

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-07

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  • 花粉症のシーズンである。読者の中には悩んでおられる方も多いだろう。そして、儲けておられる先生もおられるだろう。

    花粉症やアレルギー、自己免疫疾患などを寄生虫感染によって治療しようという方法があることをご存じだろうか。新刊『寄生虫なき病』(文藝春秋)に詳しく紹介されている。けっこう分厚くて内容も専門的な本である。表紙もすごいインパクト…。

    結論をひとことでいうと、効くこともあれば効かないこともある、ということになるだろう。効くこともあるのならやればいいではないか、と思われるかもしれないが、そうは問屋が卸さない。

    当然のことながら感染による症状もあるし、治療のため一気に感染させるのでアナフィラキシーショックの可能性もある。医療に用いるには危険度が高すぎる。

    これはちょっと信じられないのだけれど、自閉症の一部の症例では、寄生虫感染によって症状が軽くなる場合があるという。あるという報告があるのだからあるのだろうが、う〜ん、ほんまかいな感はぬぐえない。

    この本は、寄生虫療法についてだけの本ではない。免疫系の疾患というのは、清潔な世界を手に入れるのと引き換えに増加してきた、というのがメインテーマだ。

    残り407文字あります

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