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これからも手術の決断に躊躇するであろう感染症[プラタナス]

No.5002 (2020年03月07日発行) P.3

畑 啓昭 (国立病院機構京都医療センター外科・感染制御部)

登録日: 2020-03-07

最終更新日: 2020-03-05

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  • 研修医として総合内科に所属していた約20年前、他院から原因不明のショックの患者さんが搬送されてきました。何かしらの整形外科手術を受けた後、発熱を認めたため広域抗菌薬が長く使われており、前医ではあまり注意が払われていなかったようですが、詳しく聞くと下痢があったようです。また、CTでは著明に肥厚および拡張した大腸を認めました。今ならすぐにCDI(Clostridioides difficile感染症)を疑うことができると思いますが、当時は診断がつかないまま抗菌薬が変更されたりしていて状態が悪くなったようでした。先輩や部長の先生方はすぐに「偽膜性腸炎」と診断をされたのですが、残念ながら到着後数時間で亡くなられました。

    将来は外科に進みたいと言っていた私に、ICUの挿管された患者さんのベッドサイドでCTのフィルムを透かしながら、「こんな重症のCDI患者さんは、もっと早くに診断をして、躊躇せずに大腸全摘を決断しないと助けられないんだよ、それができる外科医になれよ」と、先輩の先生がアドバイスを下さったシーンが今でも鮮明に記憶に残っています。アドバイスのおかげもあってか、外科に進んだ後には大腸全摘を行い元気になられたCDI患者さんも経験するようになりました(写真は大腸全摘後1カ月を超えるICUでの治療を乗り越えて元気になられたCDI患者さんの、内視鏡写真と切除標本の偽膜部分の顕微鏡写真です)。

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