小児科研修の最初に先輩から母子手帳のみかたを教わる。周産期。成長曲線、発達、そして予防接種欄である。外来診療の必需品である。乳児の風邪症状は4種混合(百日咳含有ワクチン)未開始で家族内にも長い咳の家族歴があれば、百日咳を疑って検査・診断に進む。発熱性発疹症をみると、麻疹かと心配し、まず麻疹ワクチン2回接種歴をチェック。痙攣重積では、夏ならば日本脳炎、冬ならばインフルエンザ、渡航後ならば麻疹を確認する。外傷では4種混合ワクチンで破傷風の免疫を確認する。
写真は筆者の母子手帳だ。残念なことに、予防接種欄はBCGと3種混合1回のみだ。高校時代に海外留学した際に求められて接種した麻疹ワクチンの接種証明書が挟まっていた。医学部の病棟実習前にB型肝炎を接種したが記録がなかった。初期研修中にムンプスに罹患してしまい、この母子手帳を母親から譲り受けてから納得した。その後、東南アジア渡航前に麻疹、風疹、破傷風、経口ポリオ、A型肝炎、日本脳炎を追加、小児病院への就職前に百日咳予防で3種混合を追加した。自費接種でかなり費用がかかったが「当時は忙しかったし、自然にかかればいいかと思って」と悪気がない母親。本当に無事でよかった。
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