すでに6回と、今年はえらくよく映画館に行っている。「絶対行く」「できたら行きたい」「行かない」にランク付けしながら予告編を見るので、はからずもチェーンスモーキングみたいに足を運ぶことになる。
冤罪に問われたガードマンを描いた『リチャード・ジュエル』は、いかにもクリント・イーストウッド作品らしい渋い映画だった。役者さんもすごく良かったのに、あまり人気が出なかったようなのが残念。
『大脱走』は、マックイーンがかっこよかったけど、全般に演技がいまひとつ。楽しめはしたが、期待感が極大だっただけにちょっとがっかり。まぁ、しゃぁないです。
鬼才テリー・ギリアムの『ドン・キホーテ』はマニアックな面白さ。アカデミー賞の『パラサイト』は、よくできた映画とは思うが、登場人物の誰にも感情移入できないような映画はあきまへん。個人的にはアウト。
『オズの魔法使い』のジュディ・ガーランドの実話『ジュディ 虹のかなたに』がバツグンだった。晩年は重度の依存症だったのでストーリーにはちょっと不安を感じながらも、主演のレネー・ゼルウィガーが大好きなのでイカネバの娘だったのである。
ゼルウィガーが昔に比べると体重が半分くらいじゃないかと思えるくらい痩せていてびっくり。しかし、その演技力と歌唱力は完璧で、ラストの2曲では感動の涙がとまらんかった。アカデミー賞主演女優賞はダテではない。ホンマにええ映画でしたわ。
それから『野生の呼び声』。主演のハリソン・フォードはすごくよかったけど、CGが駆使された準主演(?)の犬がいまひとつ。過ぎたるは及ばざるがごとし。表情や動きの擬人化がすぎるし、どこの世の中にそんなに賢い犬がいてんねん、怒るぞ。
この映画の原作、ジャック・ロンドンの小説にちなんでバックと名付けたシェパードを飼っていたことがある。高校2年生の時から、結婚してしばらくたった28歳までの12年間、多感な時期を共に暮らした。
ずいぶん賢いけれど、えらく気弱だったその犬のことが、映画を見ている間ずっと思い出されて、ものすごく懐かしかった。
おもろない映画はどこがおもろなかったかについて文句をいう。役者さんの経年変化をチェックする。関連したいろいろなことを思い出す。いろんな楽しみ方ができるのも映画のええところですわなぁ。
なかののつぶやき
「もう一度、犬を飼ってみたい。自分と犬の寿命を考えあわせると、飼い始めるにはそろそろ最後のチャンス。『犬、飼いたいなぁ』と半定期的につぶやくんですけど、鶴ならぬ妻の一声はいつも『あんたが全部面倒見るのなら、どうぞ』と、つれない。諸般の事情を勘案すると、もう犬をペットにすることはなさそう。そう思うと、かわいかったかつての飼い犬バック君のことがよけいに懐かしくなるのです」