No.4725 (2014年11月15日発行) P.71
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-03-17
ノンフィクションが好きでいろいろなジャンルの本を読む。山が好きなこともあるけれど、山の本にハズレなし、といっていいほど山岳文学はおもしろい。
たとえば、マッターホルンに初登頂したウィンパーの『アルプス登攀記』や、人類初の8000メートル峰登頂を描いたエルゾーグの『処女峰アンナプルナ』。なかでも、この一冊、と言われれば、ガストン・レビュファの『星と嵐』をあげたい。
ところで、外国では墓地の散策がそこそこの観光になったりしている。シャモニーの町外れにある墓地は、有名登山家のお墓があることで知られている。この夏、モンブラン登山の際に訪ねてみると、入ってすぐのところに美しい花に飾られたウィンパーとエルゾーグの墓が並んでいた(写真)。地図によると、レビュファの墓はずいぶんと奥まったところにあるようなので、探しながらさらに歩いた。その時である。
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