No.4728 (2014年12月06日発行) P.76
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-03-16
大腸ファイバー検査を受けた。下剤でおなかを空っぽにしたら、ほんまにヘロヘロになった。絶食だけの時とはまったく違う。非医学的な話であるが、腹に力を入れるにはウンコが必要なんとちゃうか、えらいぞウンコと思ったりした。
尾籠な話で恐縮なんですけれど、私、おなかが弱いんです。日常的に下痢気味とか軟便気味とかいうことはまったくない。が、水が合わないのか、海外旅行に行くと、やたらと下痢をする。
何度もひどいめにあった。大学を卒業してすぐに旅行したメキシコ。思えば、あのころは無謀であった。海外下痢体質とは知らなかったので、ごくふつうに飲み食いをしていた。
激烈な下痢をして、なにも食べられなくなり、1週間で5キロ近くも体重が減った。その後、ロサンゼルスで合流した同級生は、真っ黒に日焼けしてやせ衰えた私を見て、誰かわからなかったほどだ。
以後、星霜を重ね、海外では病弱なおっさんは、めったやたらと用心深くなった。生水などはもってのほか、途上国では、歯磨きにすらミネラルウォーターを使う。
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