体部白癬と足白癬はそれぞれ白癬菌が生毛部皮膚(うぶ毛があり角層が薄い),足底皮膚(角層が厚くて毛包がない)の角層に寄生する感染症である1)。体部白癬は鱗屑や紅斑や丘疹,小水疱が病変の辺縁に環状に並び,中心治癒傾向を示す。足白癬では趾間の浸軟や鱗屑(趾間型),足底の鱗屑や小水疱(小水疱型),過角化(角質増殖型)がみられる。足白癬はほぼTrichophyton rubrumとT. interdigitaleによる。体部白癬はT. tonsuransやMicrosporum canisをはじめとしてT. rubrum,T. interdigitale,T. verrucosum,M. gypseumなど,多彩な菌種が原因となる。
病変部に真菌が存在することを証明することが必須である1)。鑷子や剪刀などを用いて鱗屑や水疱などの病変を検体として採取する。体部白癬では環状の病変の周囲にある鱗屑や小水疱を採取する。足白癬では小水疱からの検出率が高い。水疱蓋を剪刀で切り取って鏡検する。鱗屑は完全に浮き上がっていないものを剝がし取る。趾間では浸軟せず乾いていてまだ皮膚に付着している鱗屑を検体とする。足底の過角化は検出率が低いので多く採取する。
直接鏡検については「頭部白癬」の稿を参照(検体が溶解したところで,軽くカバーグラスの上から検体を薄く押しつぶして,観察する)。
白癬菌に対して,イミダゾール系ではルリコナゾールとラノコナゾールはきわめて効果が高い。非イミダゾール系は全体として効果がある。
白癬菌に対してはテルビナフィン(TBF)が第一選択であり,イトラコナゾール(ITCZ)は第二選択となる。
TBFは吸収が良好な薬剤であり1日1錠(125mg)で連続投与する。肝機能障害と血球減少,横紋筋融解に注意する。併用注意薬があるが,併用禁忌薬はない。検査項目は,血算,生化学(AST,ALT,LDH,ALP,γ-GTP,総ビリルビン,CK)である。
ITCZは体部白癬や足白癬では連続投与するが,吸収効率が低いので,分服せず1回で内服する。また,酸性下で脂肪分があるほうが吸収が増すため,必ず食直後に内服する。肝機能障害と血球減少に注意する。検査項目は,血算,生化学(AST,ALT,LDH,ALP,γ-GTP,総ビリルビン)である。併用禁忌薬が多数ある。併用注意薬も多いが,カルシウム拮抗薬はITCZと併用するとカルシウム拮抗薬の効果が強く出て浮腫や心不全につながるので,原則併用しない。いずれの薬剤も体部白癬や足白癬では投与期間は2週間~2カ月程度で,投与開始後1カ月目で検査する。
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