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遅発性ジスキネジア[私の治療]

No.5010 (2020年05月02日発行) P.45

大垣光太郎 (順天堂大学医学部附属浦安病院脳神経内科准教授)

服部信孝 (順天堂大学医学部脳神経内科教授)

登録日: 2020-05-03

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  • 遅発性ジスキネジアは,抗精神病薬や制吐薬(メトクロプラミド,プロクロルペラジン,スルピリド)を含むドーパミン受容体遮断薬(dopamine receptor blocking agents:DRBA)の長期使用に関連した薬物誘発性の不随意運動を呈する運動過多症(hyperkinetic movement disorder)である。原因となる薬物療法の中止後も持続することが多く,上記薬物を中止することが回復のために最も重要であり,早期診断が求められる。

    ▶診断のポイント

    遅発性ジスキネジアの症状としては,口腔顔面ジスキネジア,アテトーゼ,ジストニア,舞踏病,およびチックの様々な不随意運動を包含する。その中でも口をもぐもぐさせて,舌を出す運動(fly-catcher:ハエ取り)は典型的である。顔面や舌に常同的な比較的速い動きが反復すること(oral-lingual-buccal dyskinesia)が最も一般的であるが,四肢・体幹,呼吸筋などが障害されることもある。遅発性ジスキネジアの診断は,典型的な不随意運動の存在,少なくとも1~6カ月以上のDRBA曝露歴,およびそのほかの原因の除外による,臨床診断である。遅発性ジスキネジアの診断を確定する試験やバイオマーカーはない。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    遅発性ジスキネジアの薬物療法を評価した研究は数多く報告されているが,臨床診療において中等度以上の効果を生み出す治療法はほとんどない。したがって,予防,早期発見,および潜在的に可逆的な症例の管理が最も重要と言える。以下に①原因薬剤の中止・抗精神病薬の切り替えと,②遅発性ジスキネジアに対する薬物治療についてわけて述べる。

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