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日本登山医学会認定山岳医制度について [エッセイ]

No.4724 (2014年11月08日発行) P.64

上小牧憲寛 (済生会宇都宮病院救急科)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-17

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  • 日本登山医学会認定山岳医委員会の委員長を務めさせていただいているが、第4680号(2014年1月4日)で「山岳医の認定制度」についての質問と、それに対する係の回答を拝読した。係の事前調査が事細かに行われた上で記載されているため、内部の者でも知らないような詳細かつ正確な説明がなされていた。この場を借りてお礼を申し上げる。その上で内部の者にしかわからない点について補足させていただく。



    1997年に欧州で始まった“Diploma of Mountain Medicine”の資格を「国際山岳医」と邦訳している。

    この資格を有する欧州の医師の中には、ヘリコプターに同乗して遭難現場へ赴き、ホイストで要救助者のいるところへ降りて現場で行える救急治療を行う者もいる。その際事情によりヘリへ戻れない状況も発生する可能性があり、ヨーロッパアルプスから自力下山する必要も生じうる。そのため、国際山岳医はかなりの登山技術を持っていなければならない。しかし、エントリーされる方の中には、山への憧れはあるが登山経験の少ない方が多数おり、国際ガイドが中心となって合否を判定する登山技術の検定に合格できない方が続出した。

    また日本の医師の多くは多忙なため、とても125時間余りにわたる認定国際山岳医講習会すべてには参加できない方も多い。そのような方から、登山技術実習への参加は無理だから、登山医学だけを学べる制度も創ってほしいという要望が多数出た。その結果、日本独自の認定山岳医、すなわち日本登山医学会認定山岳医の制度を並行して運営することになったわけである。それでも75時間ほどの座学と実技を受講する必要がある。

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