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大腸内視鏡検査体験記 [エッセイ]

No.4737 (2015年02月07日発行) P.70

井奈波良一 (岐阜大学大学院医学系研究科 産業衛生学分野准教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-09

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  • 大腸癌検診までの経緯

    大腸癌は、日本人の部位別にみた悪性新生物による死亡率(人口10万対)の中で、男性が肺、胃についで第3位、女性では第1位を占めている1)。筆者は大腸癌を予防するために大腸癌検診が重要であることを認識していたが、職場の健診に便潜血検査がなかったため、これまで検査を受けたことがなかった。某テレビ番組で、たまたま50歳になったら大腸癌検診を受けたほうがよいということが取り上げられていた。そこで、これを機会に大腸内視鏡検査を受けることにした。

    初めて体験した大腸内視鏡検査

    近場で休日に検査可能な医療機関をインターネットで検索した。残念ながら知り合いの医師の診療所はヒットしなかったので、別の診療所で検査を受けることにした。だが、その診療所では受付後医療クラークらしき人物が問診と血圧測定も行ったが、血圧測定の際、マンシェットの巻き方がでたらめだったので今後のなりゆきに不安を覚えた。

    2月下旬に予定された入試業務がないことを確認し、2月中旬に検査予約をとった。診察後、院長はポリープを摘出した場合の検査後の出血確率(1.86%、出典不明)を示しながら、検査後10日間、摘出部位からの出血を避けるため禁酒し、消化の良い物を食べ、また必要以外の散歩や激しい運動、入浴を控えシャワーにするようにとの指示があった。しかし、この指示では具体的にどうしたらよいかわからず、できれば入院したいと申し出たが拒否された。

    その後、別室で看護師から食べてはいけない食物(主に繊維の多い食物)に関する一枚物の図入り資料を受け取った。検査前の食事は、前日用の食事セットを購入したため、さして苦労はなかった。同時に検査前1週間、出血傾向がある薬剤の服用を中止するよう指導があったが、説明が不十分でどの薬の服用を中止するのかよくわからず、帰宅後に確認のため電話するはめになった。看護師は質問に回答するにも、いちいち院長に問い合わせていた。これなら最初から院長から中止薬を指示してほしかった。

    検査当日、降圧薬を服用して、午前10時ころ診療所に到着。看護師の指示に従い、検査の前処理用の下剤(ニフレック)1カップ10分間隔を約2時間かけて飲んだ。下剤の量が多く、また途中トイレに行ったりするため時間間隔を遵守するために焦り、疲労し、また喉の渇きや頭痛を感じた。

    検査の前処理は順調に進み、検査でポリープ数個が摘出された。院長の内視鏡治療の腕は確かそうであった。しかし検査中、大腸が緊張していて内視鏡の進みが良くなく、我慢できず痛みを訴えた。その際、院長から「大腸内視鏡で大腸の様子をみると患者の性格がよくわかりますよ」と言われたことにはむっとした。院長は緊張をほぐすために良かれと思ったのかもしれないが、できればこういった発言は控えてほしかった。

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