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医療機関が活用できる新型コロナ対応の助成金・補助金・融資制度【まとめてみました】

No.5015 (2020年06月06日発行) P.14

登録日: 2020-06-04

最終更新日: 2020-06-04

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新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、全国の医療機関で医業収益が大幅に減少している。厚生労働省はこうした危機的状況への対応として、5月分の診療報酬等の概算前払を可能にするなどの措置をとっているが、数カ月に及ぶ受診抑制によって医業収益自体が減少しているため、多くの医療機関で不安定な経営を余儀なくされている。本欄では、医療機関が活用できる主な助成金や補助金、融資制度などについて紹介する。

「雇用調整助成金」は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業や教育訓練を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するもの。新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対し特例が設けられたが、助成額は職員1人1日につき8,330円が上限となる。

 

「持続化給付金」は、感染症拡大により特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業全般に広く使える給付金が支給される。新型コロナウイルス感染症の影響により、1カ月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者が対象。個人事業者も含まれる。給付額は法人が200万円、個人事業者が100万円だが、前年売上からの減少分が上限となる。

このほか、新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休業等をした小学校等に通う子を持つ保護者を対象とする「小学校休業等対応助成金」が創設された。給付対象は該当する保護者を雇用する事業主。支給額は、有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額で、上限は1日8,330円となる。

雇用調整助成金と小学校休業等対応助成金は、政府が拡充の方針を示している。6月の国会に提出予定の2020年度第二次補正予算案に追加対策として盛り込まれ、成立すれば支給の上限額がともに1万5,000円に引き上げられる予定だ。

IT導入補助金に特例

 

補助金では、経産省の実施するサービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)に特別枠(C類型)が設置。新型コロナウイルスの感染拡大が事業環境に与えた影響への対策及び同感染症の拡大防止に向け、具体的な対策に取り組む事業者によるITツールの導入を優先的に支援するための特例だ。

ポイントは、同事業において登録されたITツールのみが補助対象となる点。登録外のサービスは対象とならないため、IT導入補助金のホームページで確認する必要がある。C類型の補助率・補助額はそれぞれ2/3以内、上限450万円となる。

信用保証の活用で実質無利子・無担保融資

医療機関は典型的な労働集約型産業のため、経費に占める固定費の割合が大きい。そこで資金繰りに関する支援策も講じられている。医療機関向けの融資では、独立行政法人福祉医療機構が行う「医療貸付事業」がある。5年間は無利子で、診療所の融資枠は無担保で最大4000万円となっている。現在申請が増えており、融資には1カ月以上かかるようだ。

このほか政府が債務保証することで融資を受けやすくする「セーフティネット保証」でも特例措置が講じられている。セーフティネット保証4号は売上高が前年同月比20%以上減少した事業者に対し、一般枠とは別枠(最大2.8億円)で借入債務の100%、同5号は債務の80%を保証する。これに加え、「危機関連保証」として、売上高が前年同月比15%以上減少した事業者は、セーフティネット保証とは別枠で最大2.8億円を保証。ただしこれらの制度を利用するには審査があるため、詳細は取引金融機関や地域の信用保証協会に確認する必要がある。

またセーフティネット保証または危機関連保証を利用した場合、都道府県の融資制度の基準を満たせば保証料・利子の減免を受けることができる。売上高の減少が前年同月比5%以上の場合は保証料を半額に、15%以上の場合は保証料・利子負担ともにゼロで、実質的な無利子・無担保による融資が拡充することになる。

外出自粛や休業要請が解除されたとはいえ、国民の受診抑制傾向は依然として続くとみられる。今回紹介した支援策以外にも、税や社会保険料の納付猶予や納付期限の延長などの措置が受けられるケースがある。各所から発信される情報を素早く入手し、この未曾有の危機を乗り切るために活用してほしい。

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