新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗原検査について厚生労働省は6月16日、発症後2日目~9日目の症例で陰性だった場合、追加のPCR検査なしに確定診断とすることができるとの取り扱いを決め、抗原検査キット活用に関するガイドラインを改訂した。これまで陰性の確定診断のためにはPCRによる再検査が必要としていたが、発症後2日目~9日目の症例ではウイルス量が多く、PCR検査と抗原検査の結果の一致率が高いことから、取り扱いを変更した。
見直しの根拠となったのは、①発症後2日目~10日目の症例は十分なウイルス量を有することを確認した川崎市の調査、②発症から9日目まではPCR検査と抗原検査の一致率が高いこと(8検体中7検体で一致)を確認した東邦大医療センター大森病院の調査、③保存検体を用いて、発症から10日以内はPCR検査と抗原検査の陽性一致率が高い傾向があること(6検体中4検体で一致)を確認した国立国際医療研究センターと富士レビオの調査―など。
厚労省はこれまで、COVID-19診断用の抗原検査キット(エスプライン SARS-CoV-2)で陽性となった場合は確定診断とすることができるとしながら、陰性だった場合は、確定診断のため医師の判断でPCR検査を行う必要があるとしていた。
16日付で改訂したガイドラインでは、この取り扱いを見直し、陰性の場合、①発症後2日目~9日目の者は追加の検査を必須としない、②臨床経過から感染が疑われる場合や発症日および発症後10日目以降の者の場合は確定診断のため医師の判断でPCR検査を行う必要がある―としている(図)。
無症状者に対する抗原検査の使用は適さないとのスタンスは変えていない。
COVID-19のPCR検査・抗原検査の取り扱いをまとめたのが表。唾液を用いたPCR検査は発症から9日以内の場合に認められているが、唾液を用いた抗原検査は現状では認められていない。
【関連情報】
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部「SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」(6月16日改訂)
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