Prep-02試験によって切除可能膵癌患者に対する術前GS療法(ゲムシタビン+S-1併用療法)が全生存期間を有意に延長することが明らかにされました。膵癌のさらなる予後改善に向けた,膵癌術前治療の今後の展望をご教示下さい。山形大学・元井冬彦先生にお伺いします。
【質問者】
杉浦禎一 静岡県立静岡がんセンター肝・胆・膵外科 部長
【術前GS療法が標準となり,さらに至適レジメン・期間が決定されていく】
切除可能膵癌に対しては,長らく手術先行がgold standardの治療戦略でした。しかし,わが国で行われた手術先行と術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy:NAC)の多施設共同無作為化比較試験(Prep-02/JSAP-05試験)1)の結果が2019年1月に公表され,治療企図解析(intention-to-treat analysis:ITT)で術前GS療法(NAC-GS)が有意に死亡リスクを低減し(ハザード比:0.72),生存期間中央値を約10カ月延長する(P=0.015,ログランク検定)ことが示されました2)。副次的解析で,NAC-GS後の周術期成績は手術先行と同等であり,手術先行切除例に比べて,リンパ節転移陽性率や後の肝転移再発率が低いことも明らかになっています。
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