胆囊結石(胆石)の約6~8割の患者は無症状である。疝痛発作などの症状を有するようになるのは年率2~4%で,有症状化するのは13~22%と言われており,無症状胆石には予防的胆摘は行わない1)。疝痛発作以外にも急性胆囊炎,落下結石による急性膵炎,胆囊癌の併存などに注意が必要である。結石が大きく数が多い症例,非コレステロール石,有症状例,有症状期間が長い症例では,胆囊癌合併リスクが高いとされている1)。
腹部超音波検査で音響陰影を伴う高エコーの結石を証明する。大きな結石では音響陰影に隠れた部位の腫瘤や壁の肥厚などを見落とす可能性があるのでCTを併用する。胆石の成因のひとつに腺筋腫症があるが,その診断の際はMRIでRokitansky-Aschoff sinus(RAS)を描出することが役立つ。
疝痛発作に対してはブスコパンⓇ(ブチルスコポラミン臭化物)を用いる。同剤が無効な場合や緑内障がある場合はNSAIDsを使用する。また,芍薬甘草湯を使用することもある。発作予防目的として,ウルソデオキシコール酸600mg/日が効果があるという報告もあるので,発作を起こしたことのある患者には投与を勧めている。
ほかにも経口胆石溶解療法と体外衝撃波結石破砕術(extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)があり,適応を選べば効果があることは報告されているが,筆者の施設では行っていない。
頻回の胆石発作によって社会活動の制限が著しい場合に対しては,腹腔鏡下胆囊摘出術を勧めている。
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