株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

がん以外でCA19-9が上昇する要因は?

No.5230 (2024年07月20日発行) P.45

青木武士 (昭和大学医学部外科学講座消化器・一般外科学部門主任教授)

登録日: 2024-07-19

最終更新日: 2024-07-16

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

31歳女性。人間ドックで腫瘍マーカーCA 19-9のみが37U/mLと基準値内高値。DM(-),肥満(-),家族歴(-),エコー,CTで異常なく他の血液検査(AMY,Dupan-2,CEAなど)も正常範囲内。magnetic resonance cholangio pancreatgraphy(MRCP)を勧めるも閉所恐怖症のため不可。CA19-9は,他の要因(がん以外)で上昇することはあるのでしょうか。
昭和大学・青木武士先生にご回答をお願いします。(東京都 S)


【回答】

【様々な要因で上昇するため,臨床症状や他検査を統合した評価が必要である】

CA19-9は膵管,胆管,胆囊,唾液腺,気管支腺,前立腺,胃,大腸,子宮内膜などに局在する蛋白質で,これらのがん化により大量に産生され血中濃度が上昇します。特に,膵癌で80〜90%,胆管癌,胆囊癌で70~80%,胃癌,大腸癌,肝癌で30~60%の陽性率を示し,消化器癌の腫瘍マーカーとして臨床応用されています。消化器以外では肺癌や卵巣癌,子宮体部癌においても10%程度陽性となりますが,いずれのがんにおいても早期癌での陽性率は低く,がんに対する陽性的中率は2.5%と報告されています1)。それゆえに,CA19-9はがんのスクリーニングには不適であり,治療効果のモニタリングに有用であるとされています。

一方で,CA19-9は正常細胞からも産生されるため,膵炎,胆管炎,閉塞性黄疸,胃炎,肝炎,肝硬変などの良性疾患においても高値となることがあります。また,子宮内膜症や卵巣囊腫などの良性婦人科疾患においても上昇する可能性があり,女性におけるCA19-9要精検率は男性の4倍であったとの報告もあります2)。CA19-9上昇例において,必ずしも婦人科疾患が関与しているとは限りませんが,多くの女性における軽度上昇の原因である可能性が指摘されており,女性の上昇例においては精査をお勧めしてもよいかもしれません。

その他の原因としては,気管支炎,特発性肺線維症や気管支拡張症などの良性呼吸器疾患でも上昇することが知られています。糖尿病や若年女性,妊娠,薬剤等でも高値を呈することがあります。さらには,CA19-9に関連する疾患が特定されない場合においても上昇を認めることがあります。このように,CA19-9上昇に関連する疾患・病態には臓器特異性がなく,症状や身体所見,他の検査結果を総合して判断する必要があります。

CA19-9高値を認めた場合には,消化管内視鏡検査や腹部超音波検査,CT等で悪性腫瘍の有無の検索が必要ですが,本症例のように病変の検出に至らないことも多く経験します。がん以外でもCA19-9高値を示すことが多々あること,腫瘍マーカーはあくまでもがんの補助検査であり,必ずしもがんの罹患を意味するものではないことを十分に説明する必要があります。また,有意所見を認めない場合においても,一定期間はCA19-9値の推移をfollowすることをお勧めします。

【文献】

1)鈴木朋子, 他:人間ドック. 2015;30(1):22-9.

2)矢島義昭, 他:人間ドック. 2014;29(4):610-5.

【回答者】

青木武士 昭和大学医学部外科学講座消化器・一般外科学部門主任教授

関連記事・論文

関連書籍

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top