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急性肝不全[私の治療]

No.5218 (2024年04月27日発行) P.43

持田 智 (埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科教授)

登録日: 2024-04-25

最終更新日: 2024-04-23

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  • 正常肝または肝予備能が正常と考えられる肝臓に障害が生じ,初発症状出現から8週以内に,高度の肝機能障害に基づいてプロトロンビン時間国際標準比(INR)値が1.5以上になる症例を急性肝不全と診断する1)。肝性脳症が認められない,または昏睡度がⅠ度までの「非昏睡型」と,昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する「昏睡型」に分類する。後者は初発症状出現から昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症が出現するまでの期間が10日以内の「急性型」と,11日以降56日以内の「亜急性型」に分類する。初発症状出現から8週以降24週以内にINR値が1.5以上になり,昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する症例は「遅発性肝不全(late-onset hepatic failure:LOHF)」と診断し,急性肝不全の類縁疾患として扱う。

    ▶診断のポイント

    初発症状の時期を患者または家族から聴取して,病型を診断する。また,成因を分類法2)に準拠して診断することも重要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    昏睡が出現する前から,可及的速やかに肝庇護療法および成因に対する治療を実施する。昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症が出現した時点で人工肝補助を開始する。また,肝移植施設にも連絡して,生体,脳死肝移植の準備を行う。予後予測にはスコアリング法を利用する3)。昏睡Ⅲ度以上の場合は,脳浮腫に対する治療も追加する。

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