急性胆囊炎は胆囊に発症した急性の炎症性疾患で,主な症状は右季肋部痛や発熱である。 原因の9割が胆囊結石で,その他,虚血や血栓,血管炎,悪性腫瘍によるものが挙げられる。臨床上重要な胆囊癌の合併は,炎症性変化のために,表面型の早期癌のみならず,隆起型の進行癌でさえ診断が困難な場合があることに注意する。
腹痛(右季肋部痛,心窩部痛)や背部痛,発熱を主訴に来院した場合では,急性胆囊炎を疑い,血液検査および画像診断(腹部超音波検査など)を行う。血液検査では炎症反応(白血球数増多,CRP上昇),画像診断では,胆囊腫大,胆囊壁肥厚,胆囊頸部や胆囊管の嵌頓結石,胆囊周囲液体貯留が急性胆囊炎の特徴的所見である。診断が確定した場合には,重症度を判定し治療方針を決定する。胆囊癌の合併は常に念頭に置く必要があり,限局性の胆囊壁肥厚に着目するが,術前診断には限界がある。
胆道の炎症性疾患は的確な診断と適切な治療が重要である。急性胆囊炎のほか,急性胆管炎もあり,治療方針が異なることから迅速に診断することが求められる。重複している場合には,より重症度の高い疾患を優先的に治療し,適宜追加治療の必要性について検討する。
当院では,外科治療の治療時期決定などの観点から,急性胆囊炎症例に対しては初期治療から原則外科での担当としている。内科と消化器病センターとしてシームレスに連携し,適宜必要な内科的治療(経皮的ドレナージやERCPなど)を内科が実施している。急性胆囊炎の症例を内科が担当する病院もあると考えられるが,外科とのスムーズな連携を構築しておくことが重要と考える。
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