肝臓は消化管からの血流を集める臓器であり,体外異物との接触も多く,それがゆえに腫瘍細胞を比較的受け入れやすい性質を持つ。原発腫瘍が診断された時点で転移性肝癌を認める腫瘍は多く,特に膵癌は発見された時点で35.6%の症例で肝転移を認めており,大腸癌(26.9%),小腸癌(14.6%),胃癌(14.2%),食道癌(14.2%)もそれにつぐ頻度である1)。
ほかにも,肝転移をきたす代表的な腫瘍として,膵消化管神経内分泌性腫瘍(GEP-NET),消化管間質腫瘍(GIST),胆管癌,卵巣癌,乳癌などがあり,その扱いについて,最近の動向をまとめて述べる。
診断には,腹部超音波,CT,MRI,PET-CT検査などが有用である。腹部超音波検査は最も簡易的であり,ソナゾイドⓇ造影などによる血流評価もできるという利点がある。しかし,肝臓のドーム下や深部など検出力が劣る部位もあり,PET-CTと同様にスクリーニング検査には有用であるが,詳細な診断には適さない。手術などの治療を前提とした詳細な診断のためには,ダイナミックCTとGd-EOB-DTPA (プリモビスト®)造影MRIが不可欠である。
その他,各癌種における特異的な腫瘍マーカー(AFP産生胃癌におけるAFPや,食道癌からの肝転移を鑑別するためのSCCなど)も診断の一助となる。
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