今、不登校児童の治療について執筆している。日本最北のメンタルクリニックを開いて8年目になるが、当初はうつ病や認知症の診察が多いと思っていたところ、小学生から大学生まで不登校を主訴に来院した患者の数が、これまでの受診者総数の5%近くになっていることに驚いてしまった。当地は高齢者が人口の35%を超えている地域である。どのくらいの患者を通学できるようにしたかなど、統計を取ってみることにした。
30年前、精神科医になったばかりの頃は、不登校児童は登校刺激に対して反抗的態度をとり、家庭内暴力も多かった。しかし、登校刺激をしなくなり、学校は「行けるようになったら行けばよい」ということになった。学校に通学できるようにすることが治療だと思っていたら、無理に行かなくてもよくなったらしい。
不登校児童に関する最近の論文を読むと、学校に行くことに対して、ある識者は「子どもは学校に行かない」のだと言い、別の識者は「行きたいけれど行けない」のだと語る。子どもたちの話をじっくり聞くと、その両方の思いを持っていることがわかる。
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