退院支援は、治癒しない病気、時に加齢による変化、固定する障害を抱えながら、それでも残存能力を引き出し(自立支援)、患者自らが自己決定していくプロセスを支える(意思決定支援)。これは看護そのものである。そして、患者の願いを可能にするためにどのような制度を活用するかを検討し、適切な医療・看護・ケアサービスへつなぐ、調整するプロセスが退院調整である。
2012年、独立し、オフィスを立ち上げた。主に看護協会や病院からの依頼で、看護師の研修や病院・地域との協働を進めるための「在宅療養移行システム」のアドバイザーとして全国を回っている。診療報酬の影響によって必要性を感じたという動きの遅さは気になるが、何より看護管理者が必要性を感じて動くことで大きな変革へとつながっている。看護師たちは、病院という箱の中の看護から、地域で暮らす生活者であるという意識をもって、患者に、家族に寄り添う看護を取り戻し始めた。
高齢者にとっては、提供される医療によって暮らしがどんなふうに変わるのかが問題である。患者の望む暮らし、生活の場に戻ることができる医療にとどめることも求められる。指標は患者のQOL。そして、医療者としての倫理的な視点を持ち、医師・看護師を中心にチームで取り組むことが重要である。さらに、今は外来での在宅療養支援へと発展させている。
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